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7月17日 天童如浄禅師忌(平成23年度版)

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7月17日 天童如浄禅師忌(平成23年度版)

今日は曹洞宗大本山總持寺の檀家でもある石原裕次郎さんの命日でもあるようです。やはり、『西部警察』のイメージが強い拙僧。歳がバレますな。まぁ、隠しちゃいませんが。さておきまして、今日は、旧暦の7月17日を命日とする天童如浄禅師のことを採り上げてみましょう。

ところで、道元禅師伝に詳しい方々については、如浄禅師の説明は、もはや不要であろうと思います。一応、【如浄―つらつら日暮らしWiki】なんていう項目もあるので、興味のある方はご覧ください。

さて、今日見ていくのは道元禅師が、本師である天童如浄禅師のために行った追悼の上堂です。永平寺に入られてからはほぼ毎年行われている追悼の上堂ですので、年回法要とは関係なく、いわゆる「毎歳忌」扱いになります。今年のは、整合的ではない順番で入っている上堂なので、具体的な年号は分かりません。

寛元4年(1246) 巻2-184上堂
宝治元年(1247) 巻3-249上堂(既出)
宝治2年(1248) 巻4-274上堂(既出)
不詳       巻4-276上堂(今回)
建長元年(1249) 巻4-342上堂(既出)
建長2年(1250) 巻5-384上堂(既出)
建長4年(1252) 巻7-515上堂

なお、道元禅師の語録を使い切っても、かなり多くの洞門僧が、同じように如浄禅師を鑽仰していますので、それらを視野に入れつつ、今日は上記の通りの「不詳」を用います。

 天童和尚忌辰の上堂。
 天童、今日、翻巾斗、蹈倒す、驢胎と馬胎と。狼籍一場、桶底脱、洞宗、祖師に託し来ること有り。
    『永平広録』巻4-276上堂

「忌辰」というのは、いわゆる「忌日」と同じことです(辰は「時」を意味する)。道元禅師は、その日に上堂をされたわけです。これは、師に対する尊崇の念を明らかにすると同時に、師の道業を讃歎しつつ、仏道の肝心要のところを明らかにするための説法といえましょう。

道元禅師は、如浄禅師が今日、翻巾斗であると述べています。翻巾斗というのは、巾斗(斧)が投げると跳ね返ってくる様子から、身を翻すことを述べています。いわば、死んでいる如浄禅師が生き返ったというような意味で述べているといえましょう。そして、如浄禅師は妊娠しているロバと馬、つまりは仏性を持ちながら、まだまだそれを使いこなせていない修行僧を蹴倒したということですが、この辺は修行僧達に対し、厳しく鉄剣を振るっていた如浄禅師の真面目を伝える言葉だと言えましょう。

そして、この一道場の狼藉とは、もう入りきらないと思っている修行僧の限界を超えさせ、底の空いた桶のように身心脱落させるだろうとしているわけです。そして、曹洞宗では、このような指導を通して、祖師に託し来たった正伝の仏法があるのだから、修行僧達も、この場で如浄禅師の厳しさをよくよく思い、精進するように促しているのです。

まさに、如浄禅師の道業を讃歎しつつ、それを「ダシ」にして、修行僧達に奮起を促す・・・完璧ですね。

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これまでの読み切りモノ〈曹洞宗6〉は【ブログ内リンク】からどうぞ。

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