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コスプレ対決 「ハロウィン」VS「迎え講」

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今日10月31日は、ハロウィン(Halloween)であります。このお祭りは元々、ヨーロッパを起源とする民族行事とされており、ケルト人の「収穫感謝祭」が、他の地域にも浸透したとされていて、現在でもヨーロッパ・アメリカで行われます。色々と調べてみると、この10月31日というのは、ケルト人にとっての1年の終わり(要は除夜ということ)であり、この日には死者の霊が家族を訪ねたり、精霊や魔女が出てくると信じられていたそうです。それらの霊から身を守るために仮面を被り、魔除けの焚き火を焚くなどしています。

いわゆる魔女や精霊の仮装をするのはこの霊が訪れる様子を真似るため、そしてカボチャをくりぬいて作る「ジャック・オ・ランタン」は魔除けの火となっているわけです。「仮面」の要素は、何処に残っているんだろう?で、魔女やお化けに仮装した子供達が近くの家を1軒ずつ訪ねては「トリック・オア・トリート(Trick or treat. ご馳走くれないとイタズラするよ)」と唱えます。これらハロウィンの風習を始め、日本の場合、大体これらの祭が入ってくる場合には、過度に商業化されているわけですけど、やはり仏教徒としては、ケルトのドルイドの祭をそのまま受容するわけにはいきません。

やはり、日本が全世界に誇る仮装のお祭りといえば、『欽ちゃんの仮装大賞』・・・も、そうかもしれませんが「迎え講」であります。以前、【今日は迎え講(迎接会・来迎会、或いは俗に練供養)】という記事でも書きましたが、これは、浄土教の講会の1つで、講会に参加する人が配役を決め仮面などを被り、阿弥陀仏が二十五菩薩を引き連れて衆生を救うために来迎する場面を劇として演じます。これは、恵心僧都源信が正暦年中(990〜995)に、比叡山横川に作られた二十五三昧会の会員のための廟である華台院で行ったのが始まりだとされ「来迎行者の講」を略して「迎え講」と呼ばれた活動です。平安時代以降、浄土教の勃興に伴いかなり流行しました。現在でも奈良県葛城市にある当麻寺で毎年5月14日に行われています。「迎え講」はこんな感じですよ。



ホラ見てください。



こんなに楽しそう(笑)ハロウィンに対抗するのは、最早この「迎え講」しか無い!!というので、以下駄文。

ハロウィンパーティーの一番の面白さですが、最近では欧米でもこれに因む事件が色々とあって終息しつつあるそうですが、やっぱり仮装した少年少女が、各家庭を回ってお菓子を貰って歩くことでしょう。先にも述べたように、この時に「トリック・オア・トリート」というわけです。でも、この「迎え講」が一般化した暁には、こうなることでしょう。

全身を阿弥陀仏や観音菩薩・勢至菩薩、その他の来迎衆の仮装をして、化けた子供たちが各家庭を回ってこういうのです。

「お布施をくれないと、お迎えに来てあげないよ」

なんともこう、利他とは懸け離れた表現で、自力の教えそのものです。でも、こう言いながら“自利自利”迫る来迎衆。この迫力に負けて、お布施をしてしまうのです。誰しも、臨終の時にどうなるか分からないというのは不安なもの。ただ、布施行は貴い大乗菩薩行(六波羅蜜の一)なので、必ずや功徳を積むことでしょうし、阿弥陀仏も健気な様子を認めて、迎えに来てくれると思いますよ、多分・・・

しかし“自利自利”迫る来迎衆、お布施が少なそうな場合には、こんなこともいいます。

「なんまいだ〜なんまいだ〜なんまいだ〜」

これは、「南無阿弥陀仏」の略では無くて、お布施に用いられた紙幣が「何枚だ?」と聞いているのです。あなおそろし!

さて、ハロウィンといえばカボチャの灯籠。でも、我々日本仏教的にはカボチャは「冬至」に残しておきたいところ、とはいえ、「ジャック・オ・ランタン」の代わりには、やっぱり我々も火を使うべきでしょう。とりあえず来迎衆は夜道を安全に歩きたいので、「小田原提灯」を持っておきたいところです。これで提灯業界万々歳。ついでに来迎衆が来るときには雲に乗ってきますから、雲がたなびく様子を「わたあめ」で表現してはどうでしょう。今や、縁日の屋台で見る程度になってしまったわたあめですが、これで「あめ業界」も潤います。しかも、阿弥陀仏の光明の様子を表現するために、長い棒状の透明な飴細工も良いかもしれません。あめ業界万々歳。

とりあえずこんなことを書いてみましたが、真面目に仏教をやっている人ゴメンなさい。ハロウィン祭のノリだけを用いてこんな記事を書いてしまいました。嗚呼、慚惶慚惶

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