今日は釈尊成道会です（平成24年度版）

今日は釈尊成道会になります。三仏忌については、道元禅師の時代から、熱心に修行されていますけれども、その中でも、特に成道会については、道元禅師自身が日本に将来されたということ（実際には、その前にも平安時代に他の宗派で修行された事実はあるようです）もあってか、現在の曹洞宗では臘八摂心から引き続いての大法要というわけです。

さて、拙ブログでは、毎年この日には記事を書いていますけれども、その時に採り上げているのは、道元禅師の『永平広録』に見える、成道会の上堂（臘八上堂）です。以下のような感じです。

不明　　　　　　 巻1-37上堂（既出）
仁治2年（1241）　巻1-88上堂（既出）
寛元3年（1245）　巻2-136上堂（既出）
寛元4年（1246）　巻3-213上堂（既出）
不明　　　　　　 巻3-240上堂（既出）
宝治2年（1248）　巻4-297上堂（今年）
建長元年（1249）　巻5-360上堂（２回既出）
建長2年（1250）　巻5-406上堂（既出）
建長3年（1251）　巻7-475上堂
建長4年（1252）?　巻7-506上堂

さて、今年は永平寺で宝治2年（1248）に行われた巻4-297上堂を見て、参究していきたいと思います。ところで、道元禅師は宝治元年（1247）は永平寺で成道会の上堂を行っていないのです。理由は、鎌倉行化を行っていたためです。よって、大衆にしてみれば、２年ぶりの成道会上堂といえます。

　臘八の上堂。
　雪団打雪団打。打得寒梅、雪裏開。
　天上明星。地上木杓。年の臘八、春に先って来る。
　　　　『永平広録』巻4-297上堂

「臘八」とは、「臘月」の八日目、つまりは、今日１２月８日を指しています。道元禅師はその日に上堂されまして、釈尊の成道を讃えられたのであります。内容ですが、「雪団打雪団打」というのは、『碧巌録』第４２則の頌古に見える一句になります。意味としては、「雪団もて打て」と訓ずるようなので、雪を丸めてぶつける、とかいう意味のようです。

その雪が、寒梅を打つことで、雪の中に寒梅が開くとしています。いわゆる「雪裏の梅華」ということです。既に、拙ブログでも何度も指摘していますが、道元禅師は本師・天童如浄禅師も愛された「雪裏の梅華」の語を、自らも愛され、用いられました。これは、いわゆる白い雪の中に、白い梅が咲いているということで、迷いの中に明らかにさとりのはたらきがあるという意味に取ることが出来ます。

迷いをぶつけ切って、さとりに転じる瞬間です。

その瞬間とは、天上には明星が輝き、地上には木の柄杓があるとしています。この木の柄杓とは、壊れた柄杓のことであり、いわば、汲めども汲めども溢れることが無い、ブッダの無底なる境涯を指す言葉です。つまり、さとりの瞬間とは、天上には明星が輝き、地上には無底なるブッダがいるということなのです。

梅の華は、「春」を意味します。しかし、それが、「冬」を意味する雪の中に咲いています。しかし、道元禅師は、それこそが、今日という日であるとしています。１２月８日は、まだ冬です。年を越せば春になりますが、その春に先だって、１２月８日はやってきます。しかし、それは、まさに雪の中に咲く梅のように、或いは、迷いの中に悟りを得たブッダの様相そのものなのです。

非常に簡潔ですが、まさに仏陀の成道を讃える内容に相違ありません。よって、記事もここまでとし、拙僧自身も、仏陀の成道を祝い、その功徳をいただくべく、ご供養・・・いや、雪団打したいと存じます。

今年の臘八摂心は、ヘタレ坊主なりに坐禅の時間が取れたので良かったです。とはいえ、集中して坐れたのは毎朝の３０分×２回程度でしたが・・・でも、今日、８日の朝は、遠くから鐘の音が聞こえるなど、とても良い８日間でした。

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