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ゆるキャラ「よ坊さん」

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先日、あるチラシを見たところ、こんなゆるキャラがいることを知りました。その名は「よ坊さん」・・・何故か、「日本歯科医師会」の公式ゆるキャラのようです。



まぁ、無断ですけど、このキャラの概要を、同会公式サイトを参照してまとめてみると、次の通り。

歯の大切さをみんなに伝えるためにやってきた。普段は、「予防山」という山で修行しているとか?

う〜む・・・山号ばかりあって寺号が無い?世界観の作り込み的には微妙ですが、敢えてこの「坊さん」をネタに、ゆるキャラを作ろうとする同会の趣旨は、拙僧、恐れ入ったという感じです。いや、勿論歓迎しているんですけど、ちょっとこの辺から拙ブログらしいネタを展開。

大本山永平寺を開かれた道元禅師は、『正法眼蔵』「洗面」巻を幾度となく大衆に示し、その結果、修行道場内では、「歯磨き」が励行されていた事実があります。「洗面」巻は詳しすぎる感がありますので、そうではなく、道場の1日の生活に組み込まれた歯磨き法を見てみると、以下のようになっています。

 洗面の法は、手巾を用いて頸に掛け、両端を前に垂れ、次に両手をもて各おの一端を把って、左右の腋下より背後に至らしめ、互相にして両端を交え、又た両の腋下より面前に至らしめ、胸に当てて決定せよ。一に絆を繋くるが如くし、全襟と両袖とをして、両臂以上、両肩以下に押し褰げしむ。
 次に手に楊枝を執り、合掌して曰く、「手執楊枝、当願衆生、心得正法、自然清淨(手に楊枝を執る、当に願うべし衆生、心に正法を得て、自然に清淨ならんことを)」と。
 即ち楊枝を嚼み、誦して曰く、「晨嚼楊枝、当願衆生、得調伏牙、噬諸煩悩(晨に楊枝を嚼む、当に願うべし衆生、牙を調伏することを得て、諸の煩悩を噬まんことを)」と。
 仏の言く「楊枝の頭を嚼むこと、三分に過ぐることを得ざれ」と。
 凡そ歯を踈え、舌を刮くこと、当に須く如法なるべし。舌を刮くこと、三度に過ぐることを得ざれ。舌上より血出でなば、当に止むべし。古に云く、「浄口とは楊枝を嚼み、口を漱ぎ、舌を刮く」と。
 若し人、相い向わば、手を以て自らの口を掩うて、人をして見せしめ、嫌心を生ぜしむること莫かれ。洟唾、須らく屏処を知うべし。大宋諸寺の後架には嚼楊枝の処無し。今、大仏寺の後架には之を構う。
 両手には面桶を把り、竈頭に臨んで桶を安んじ、杓を把り、湯を汲んで桶に承け、架上に還り来たり、手を桶に軽くして洗面低細にせよ。如法に眼裏・鼻孔・耳辺・口頭を洗うて浄からしめよ。湯水多く費やし、度を無くして使うことを得ざれ。口を漱がば、水を面桶の外に吐け。曲躬低頭して洗面し、腰を直くして水を隣桶に濺ぐことを得ざれ。両手に湯を掬って洗面し、垢膩を留むること勿れ。
 次に右手を以て手巾の結を解いて面を拭え。如し公界の拭面あらば、乃ち之を用いよ。
    『弁道法

これは、越前に建立された永平寺が、まだその改称が行われる前の「大仏寺」の頃に書かれた『弁道法』という文献にていわれていることです。その文献は、修行僧が1日の中で、どのように寝て、起き、そして坐禅をするかが、その服装なども含めて詳しく書かれたものです。1日の坐禅の機会は、大体4回(四時坐禅)であり、しかも、当時の1日は日が暮れる時間(初夜)から始まり、夜明け(後夜)を経て日中へと進む感じなのです。

その中に、起床時に行われる洗面・歯磨きが示されているのです。よって、おそらくは「よ坊さん」も、このような生活をしているのではないかと思い、サイトを詳しく見てみたら、「木魚」という魚のペットがいたり、ゲーム機があったりと、かなり「現代僧侶風」のゆるキャラでございました。ゆるキャラだけに、設定も緩かったようです(笑)

とはいいましても、歯磨きによる虫歯予防と、自分の歯を維持することの大切さは、いうまでもないことです。歳を取っても、楽しく食事することが出来るように、歯は大切にしたいものです。その広告に、坊さんキャラが使われるというのは、我々僧侶のイメージに、多少なりとも「清潔感」みたいなのが付随しているからでしょうか?ただのギャグではなくて・・・

それから、どうでも良い余談ですけど、この「よ坊さん」は、とりあえずウチの宗派の御袈裟を着けていないので、天台宗あたりかな?とか思った次第です。

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