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『仏祖正伝菩薩戒作法』の或る後書について

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以下の一節をご覧いただきたい。

  菩薩戒作法の後に書す
 仏祖正伝大戒の授受、支那既に断じ、日国も亦絶す。
 唯だ吾が永平の一脈のみ、縄縄として流れ、今日に至る。
 嗚呼難有希有、実に火裡の菡萏なり。
 今此の作法を以て之を授与す。
 宝秘珍蔵宜しく眼睛を護るに一如すべし。
    面山瑞方禅師『面山瑞方禅師逸録』、『続曹洞宗全書』「語録二」巻・835頁下段、訓読は拙僧

以前も【室内作法書を書写するのは誰か?】という記事をアップしたけれども、同じように作法書の奥書について見ておきたい。

まず、これが誰に授けられたものかは分からない。勿論、『逸録』に収録される際の典拠となった作法書があったはずで、それを見れば誰のか分かるのだが、現在の拙僧には分からない。

なお、この奥書の中身は何を示しているかというと、面山禅師は仏祖正伝の大戒(菩薩戒・大乗戒)の授受は、中国では既に断絶していて、日本でも断絶しているというが、永平(道元禅師)の一脈のみが縄縄として流れ、今日(江戸時代中期)まで至っているという。

非常に有り難い(文字通り)ことであり、それはまさに火の中に咲く菡萏(蓮の中国語表現、読み方は「かんたん」)の花くらい、珍しいものであるという。

そして、この作法書をもって、菩薩大戒を授与し、このような秘宝を護ることは、眼睛(自分の眼=大事な物)を護るのと同じようにすべきである、という。

簡潔ではあるが、菩薩戒の授与、或いは作法書の大切さを示す教えであると理解出来よう。

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これまでの読み切りモノ〈曹洞宗11〉は【ブログ内リンク】からどうぞ。

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