重文の仏像2体を無断で隠す…元住職を書類送検(読売新聞)−Yahoo!ニュース
天皇家ゆかりの天台宗・般舟院(京都市上京区)所蔵の重要文化財の仏像2体を無断で持ち出して隠したとして、京都府警上京署は9日、元住職(71、同市右京区)を文化財保護法違反(隠匿)容疑で書類送検したそうです。
なお、今回の重文流出については、その原因が微妙な内容でありまして、1億円以上とされる元住職の借金があったそうで、結局は同院の土地・建物が競売にかけられたそうです。
しかし、その段階で什物が無いということが表面化していたそうで、結局、元住職が疑われ、その通り容疑を認めたようです。なお、調べでは「仏像がどこかに渡らないよう守るためだった。売却目的ではない」と供述しているとのこと。
また、多額の借金を作ってしまった元住職は、競売問題によって解職され、僧籍を剥奪されたそうです。しかし、その昨年9月に、「木造阿弥陀如来坐像」と「木造不動明王坐像」の重文2体を右京区の知人男性(54)の倉庫に隠したとのこと。
ただし、2体は同月中に府警の捜索で見つかり、現在は天台宗の別の寺院が保管しているそうです。
幾つか解せないことがあります。
まずはこの元住職が作ったという多額の借金です。1億円って、どんな暮らしをしていたのでしょうかね?或いは、霊園や伽藍の整備などに手を出してしまったのでしょうか?そういうところから身を持ち崩す人は、決して珍しくないのです。こういう話を聞くにつけ、やっぱり道元禅師の教えは重々守るべきなんだなと思いますよ。まぁ、この元住職は天台宗ですから、伝教大師や慈覚大師辺りの教えになるのでしょうが。道元禅師は、「知事等、豊屋を事とし高堂大観を作るべからざる例」とし、次のように説示します。
夫れ高堂台池の搆は、世間出世同じく誡むる所なり。
尸子に曰く、「黄帝の行いを観んと欲せば、合宮に於いてし、尭・舜の行いを観んと欲せば総章に於いてす。黄帝の明堂は草を以て之を覆う、名けて合宮と曰う。尭・舜の明堂は草を以て之を覆う、名けて総章と曰う」と。
之を以て之を知るべし。古の聖賢の君は、宮垣室屋崇くすること弗し、茅茨の蓋を剪らず。況んや仏祖の児孫、誰か豊屋を事とし、朱楼玉殿を経営するものならんや。一生の光陰幾くならず、虚しく度ること莫れ。
『永平寺知事清規』
身の丈に合った生活、身の丈に合った伽藍、それが仏道者に求められているといえましょう。もちろん、簡素で質素で良いのです。建物も雨露がしのげればそれで良いといえましょう。ただ、余りに貧相な建物ですと、それを理由に離檀する人とかいますけどね・・・僧侶の気持ちや行いは、世俗に生きる人には通じないものです。
とはいえ、今回話題の元住職は、本当にどうしてしまったのでしょうか。まぁ、他宗・他寺のこと故、これ以上は詮索する必要を認めませんし、別に糾弾するつもりも無いのです。ただ、伝統ある一寺を背負って今回の状況では、これまで歴史を守ってきた人たちに申し訳が立たないのでは無いのかな?と思うわけです。拙僧などはただそれのみを恐れます。拙寺も創建600年以上、まぁ、天台宗などの平安仏教寺院には契いもしませんが、しかし、それなりに歴史はあるのです。ゆくゆくはそこを守ることになりますが、こういう状況にならないように励みたいと思うばかりです。
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天皇家ゆかりの天台宗・般舟院(京都市上京区)所蔵の重要文化財の仏像2体を無断で持ち出して隠したとして、京都府警上京署は9日、元住職(71、同市右京区)を文化財保護法違反(隠匿)容疑で書類送検したそうです。
なお、今回の重文流出については、その原因が微妙な内容でありまして、1億円以上とされる元住職の借金があったそうで、結局は同院の土地・建物が競売にかけられたそうです。
しかし、その段階で什物が無いということが表面化していたそうで、結局、元住職が疑われ、その通り容疑を認めたようです。なお、調べでは「仏像がどこかに渡らないよう守るためだった。売却目的ではない」と供述しているとのこと。
また、多額の借金を作ってしまった元住職は、競売問題によって解職され、僧籍を剥奪されたそうです。しかし、その昨年9月に、「木造阿弥陀如来坐像」と「木造不動明王坐像」の重文2体を右京区の知人男性(54)の倉庫に隠したとのこと。
ただし、2体は同月中に府警の捜索で見つかり、現在は天台宗の別の寺院が保管しているそうです。
幾つか解せないことがあります。
まずはこの元住職が作ったという多額の借金です。1億円って、どんな暮らしをしていたのでしょうかね?或いは、霊園や伽藍の整備などに手を出してしまったのでしょうか?そういうところから身を持ち崩す人は、決して珍しくないのです。こういう話を聞くにつけ、やっぱり道元禅師の教えは重々守るべきなんだなと思いますよ。まぁ、この元住職は天台宗ですから、伝教大師や慈覚大師辺りの教えになるのでしょうが。道元禅師は、「知事等、豊屋を事とし高堂大観を作るべからざる例」とし、次のように説示します。
夫れ高堂台池の搆は、世間出世同じく誡むる所なり。
尸子に曰く、「黄帝の行いを観んと欲せば、合宮に於いてし、尭・舜の行いを観んと欲せば総章に於いてす。黄帝の明堂は草を以て之を覆う、名けて合宮と曰う。尭・舜の明堂は草を以て之を覆う、名けて総章と曰う」と。
之を以て之を知るべし。古の聖賢の君は、宮垣室屋崇くすること弗し、茅茨の蓋を剪らず。況んや仏祖の児孫、誰か豊屋を事とし、朱楼玉殿を経営するものならんや。一生の光陰幾くならず、虚しく度ること莫れ。
『永平寺知事清規』
身の丈に合った生活、身の丈に合った伽藍、それが仏道者に求められているといえましょう。もちろん、簡素で質素で良いのです。建物も雨露がしのげればそれで良いといえましょう。ただ、余りに貧相な建物ですと、それを理由に離檀する人とかいますけどね・・・僧侶の気持ちや行いは、世俗に生きる人には通じないものです。
とはいえ、今回話題の元住職は、本当にどうしてしまったのでしょうか。まぁ、他宗・他寺のこと故、これ以上は詮索する必要を認めませんし、別に糾弾するつもりも無いのです。ただ、伝統ある一寺を背負って今回の状況では、これまで歴史を守ってきた人たちに申し訳が立たないのでは無いのかな?と思うわけです。拙僧などはただそれのみを恐れます。拙寺も創建600年以上、まぁ、天台宗などの平安仏教寺院には契いもしませんが、しかし、それなりに歴史はあるのです。ゆくゆくはそこを守ることになりますが、こういう状況にならないように励みたいと思うばかりです。
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