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新年明けましておめでとうございます(平成26年版)

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皆様、新年明けましておめでとうございます。

平成26年甲午の「新春」でございます。

何故、「新春」と表現するかといえば、旧暦では、新年と立春とが同じである場合が多く、よって、元旦は、同時に新たな「春」の幕開けでもあったのです。今は、立春の時期が2月頭にずれてしまいましたので、言葉だけが残った格好です。

さて、旧年中は、拙ブログ「つらつら日暮らし」、及び、「つらつら日暮らしWiki〈曹洞宗関連用語集〉」をご愛顧いただきましてありがとうございました。東日本大震災発生から3年目を迎え、一昨年・昨年はまさにその復興への道筋が付けられるかと思っておりましたが、政治的な指導力の無能からか、まだまだこれからでございます。毎年の新春に、「復興元年」ならんことを、祈らざるを得ません。

拙ブログとしては、1年間、ほぼ平穏無事に運営できましたことは、ひとえに読者の皆様のおかげでございます。そして、御礼を申し上げながら恐縮ではございますが、本年もよろしくお願いいたします。

それでは、早速本年最初の記事を見ていただきましょう。

修正礼賀○修正は、朔日の粥前に啓建の宣疏あり。三日に満散す。知殿、預め修正牌を殿前にかけ、大榜を殿門の正面に掲ぐ。華炉燭を仏前に厳備し、粥前、方丈の内賀了って、殿鐘にて集衆す。両班、常の如し。住持、跪炉し、維那、宣疏す。
 次に或いは祝聖上堂、或いは祝聖諷経。住持の意による。諷経なれば、直に恒規の課誦あり。上堂なれば、下座の次に礼賀にて、恒規の課誦は、粥後なり。
 大衆礼賀は、結夏の上堂罷の法と同じ。略は、常の朔望と同じ。方丈に献茶あれば、侍者、行礼して、大衆、著座の後、庫司、寿餅を捧げて薫香し、住持に献じて三拝。住持、答拝す。この時、衆みな立つ。坐定めて、庫司、行者をして、餅を次第に大衆に行ぜしむ。次に果、次に梅茶、常と同じ。収盞の後、大衆謝茶の触礼三拝し退く。次に僧堂礼賀。常の朔望と同じ。もし方丈に献茶なくして、巡堂献茶あれば、大衆、上床の後、庫司、入堂焼香、寿餅を薫香し、聖僧に献じて礼拝。次に住持に問訊し、巡堂一匝して、前門に出て後、行者、餅子を大衆に行く。住持には、庫司自身に行いて拝す。了って献茶、常と同式なり。

禺中行法○禺中に転大般若、或いは礼三千仏。住持の意に由る。本尊上供、殿鐘集衆、両班伝供、出班上香、常の如し。借香問訊、九拝了って分班対立し、維那、『普門品』を挙して、遶行。『大悲呪』にて帰位。『消災呪』三返、普回向、三拝して後、禺中諷経、常の如し。
    面山瑞方禅師『洞上僧堂清規行法鈔(巻三)』「年分行法」

これは、江戸時代中期の正月行持です。そもそも、修正とは、正月の修法ということであり、そこでまずは、元旦から3日間の修正会(現在の曹洞宗では、公式にはこの呼称を用いないようです)を行います。これが、いわゆる一年の山門の多幸、檀信徒の多幸、全世界の人々の多幸を祈るのです。そして、正月一日には「祝聖上堂」を行います。これは、当時の天皇と国家に対して奉る説法のことであり、或いは、単純に「新年の上堂」を行う場合もありました。

その後、大衆による礼賀(正月の挨拶)です。みんなで一緒にお茶を飲み、挨拶をするのです。そして、ここで餅振る舞いがあります。旧年最後の記事で申し上げた通り、旧年中に搗いておいた餅を分けて振る舞うわけです。この時の餅が「寿餅」です。この制度は現在も残っておりまして、一年間の多幸と、長寿を願って餅を戴くのです。餅は生命そのものです。

ここまでを朝に行います。

そして、昼になると、転読大般若か三千仏礼仏を行います。どちらも長時間かかる行持なのですが、やはり大きな功徳を積んで一年幸せに生きることを願うためのものです。とにかく、功徳・功徳・功徳、これが禅の道場に於いて求められたのです。何故でしょうか?それは、自らの身心を使って修行を行う禅特有の事情が存在しています。自身の身心を用いるからこそ、容易に退転します。だからこそ、あらゆる護法神・経典の功徳をフル動員して、我々の修行を護持していくのです。

それからは本尊上供になりますけれども、新年最初の本尊へのお供えということになります。

なお、末尾ではございますが、「大吉」の語を以てお祝いいたしたく存じます。

南謨仏法僧宝は大吉、立春は大吉、一家の祖師祖宗は大吉、仏法の弘通は大吉大吉、祖道の光揚は大吉、寺門の繁昌は大吉、門子多く集まり人の逢うを得たる時、天下吾が道に帰崇するは大吉大吉。
  大吉立春大吉。
 大吉開山、永平大吉。道玄
   寛元五年丁未立春、大吉大吉。
    道元禅師『立春大吉文

道元禅師もこのように、立春大吉(元々は新年の大吉)を祝ったわけですが、これも、先の「フル動員」の一つだと想っていただければ幸いです。そして、拙僧も同じく、歳朝大吉を祈りたいと思います。合掌

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これまでの読み切りモノ〈曹洞宗10〉は【ブログ内リンク】からどうぞ。

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